消化と吸収を助ける「ヨガ的な食事」㉘【by 平田ホリスティック教育財団 理事 丸元康生】




 甘いものをついつい食べ過ぎていると、どうしてもカロリーを摂り過ぎてしまいます。おやつの誘惑に負けないようにするためには、マインドフルネスが役立つかもしれません。そんな研究報告がありますので、ご紹介しましょう。




 被験者は、英国ウエスト・ミッドランズの大学生、128人。ランダムに「マインドフルグループ」か「比較対照グループ」かのどちらかにふり分けられました。



 「マインドフルグループ」には、チョコレートを使った「食べる瞑想」をしてもらいました。内容は、以前お話ししたレーズンの瞑想と同じ。

「チョコレートを手の平にのせて、丁寧に観察してください」

「香りをかいでみましょう。チョコレートの香りを感じられるでしょうか」

などの録音メッセージによって、瞑想が誘導されました。

 対照群は、食べる瞑想クラスには参加せず、その時間は渡された新聞を読むように指示されました。

前食テスト ここから先は、すべての被験者が同じことをします。被験者に対して、「これから10分間ビデオを見ていただきます。チョコレートをご用意してありますので、ご自由に召し上がってください」と伝えられました。写真のようなM&M’sのチョコ、100グラムが全員に渡されました。

 ビデオを見るように指示していますから、食べることには意識が向きにくいはずです。その状況の中で、どちらのグループがどれだけチョコを食べたかを比較するのが目的です。食欲をそそったりしないように、ビデオはあえて地味で退屈な内容がチョイスされました(木製の食器を作る工場の様子を映したもの)。



後食テスト 「前食テスト」の終了後、学生さんたちには、「これでテストはぜんぶ終了です。データが正しく集計されたかどうか確認する作業がありますので(これはウソ)、この部屋の中であと5分ほどお待ちください」と伝えられました。そして、「お待ちいただくあいだ、チョコはお好きなだけ召し上がっていただいてけっこうです」と付け加えられました。自由に過ごしていい状況にした時に、どのくらいチョコが食べられるかを調べるのが目的でした。




 2つのグループが食べたチョコの量を調べた結果、前食テストではマインドフルグループの方が対照グループよりも明らかに少なかったことが分かりました。グループ間の差は、1人平均約10.2グラム。これは、統計的に意味のある数字です。カロリーにすると、約50キロカロリーの差がついたことになります。

 後食テストでは、両グループの間に、ほとんど差がみられませんでした。


 この結果について研究チームは、「短時間のたった1度のマインドフル瞑想でも、明らかな影響が確認されました」とコメントしています。「日常生活の中ではテレビを見ながらおやつをつまむ機会も多いはずです。今回は意図的にそのような設定でテストしましたが、マインドフルネスの瞑想がチョコレートの食べ過ぎを抑えるのに有効であることが示されました」。

 マインドフルネスによって、むりなく摂取カロリー量を減らすことができ、減量にもつながるとした研究結果は、ほかにもたくさんあります。

 ところで、「後食テスト」では、なぜマインドフルネスの効果が見られなかったのでしょうか? この5分は「自由に過ごす」設定だったのですが、あまりに自由にしすぎてしまったのが原因かもしれません。

 参加した学生さんの多くは、すっかり気がゆるんでしまい、スマホに没頭する人もいました。こうした食欲に影響しそうな機器のテストルームへ持ち込みを禁止するなどの工夫が必要だった、と研究チームは反省点を挙げています。

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